最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「それであなた、いかがでしたか?」
不安な様子で問いかけてくる妻に、イルフォが難しい表情で答える。
「城内城外、さまざまな者に確認したが、どうやらティボー様の御乱行の噂はすべて真実のようだ」
「まあ! では本当にティボー様は、噂通りのバカ息子さんだったのですね!?」
「うむ。本当に折り紙つきのバカ息子だった」
「ど、どうしましょう! そんなバカ息子さんとキアラ様を結婚させてよいのですか!?」
「私とて、キアラ様をそんなバカ息子と結婚させたくはない。なんとか今からでもバカ息子との縁談を回避したいと考えてはいるのだが……」
「……イルフォ、テーラ。お願いだからバカ息子バカ息子強調しないでくれる? そのバカと結婚しなきゃならない自分が悲しくなってくるから」
「キアラ様、なんとおいたわしい! それもこれも賢君ヴァニス王のお血筋が絶えてしまったばかりに!」
エヴルが無念そうに唇をグッと噛みしめて嘆いた。
……そう。建国神話の英雄であるヴァニス王直系の、王室最後の王子が亡くなって二十年にもなる。
期待されていた次のお世継ぎを授かることなく、王様も王妃様も数年前に続けざまに亡くなってしまった。
以来、皇太后様が王位に就いて政務全般を取り仕切ってきたけれど、もうかなりのご高齢。
次の王位を継ぐ、継承権第一位がティボー様。というわけだ。
不安な様子で問いかけてくる妻に、イルフォが難しい表情で答える。
「城内城外、さまざまな者に確認したが、どうやらティボー様の御乱行の噂はすべて真実のようだ」
「まあ! では本当にティボー様は、噂通りのバカ息子さんだったのですね!?」
「うむ。本当に折り紙つきのバカ息子だった」
「ど、どうしましょう! そんなバカ息子さんとキアラ様を結婚させてよいのですか!?」
「私とて、キアラ様をそんなバカ息子と結婚させたくはない。なんとか今からでもバカ息子との縁談を回避したいと考えてはいるのだが……」
「……イルフォ、テーラ。お願いだからバカ息子バカ息子強調しないでくれる? そのバカと結婚しなきゃならない自分が悲しくなってくるから」
「キアラ様、なんとおいたわしい! それもこれも賢君ヴァニス王のお血筋が絶えてしまったばかりに!」
エヴルが無念そうに唇をグッと噛みしめて嘆いた。
……そう。建国神話の英雄であるヴァニス王直系の、王室最後の王子が亡くなって二十年にもなる。
期待されていた次のお世継ぎを授かることなく、王様も王妃様も数年前に続けざまに亡くなってしまった。
以来、皇太后様が王位に就いて政務全般を取り仕切ってきたけれど、もうかなりのご高齢。
次の王位を継ぐ、継承権第一位がティボー様。というわけだ。