最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「あの、剣ってどこにあるんですか?」
「いま準備します。キアラさん、エヴルさん、向かいあって祭壇のまえに立ってください」
「準備?」
なんの準備なのかわからないけれど、とりあえず私とエヴルは言われた通りに祭壇前に向かいあって立った。
「もっとくっついて立ってください」
「こう?」
「もっとくっついてください」
「こ、こう?」
もっともっとと要求されて、結局お互いの胸が密着するほどの至近距離になってしまう。
背の高いエヴルの胸元にオデコをくっつけたら、彼の鼓動と匂いを直に感じて、胸がドキドキした。
精霊騎士の上着を通して、エヴルの鍛えられた男らしい体つきがわかる。
昨夜、初めて見た彼の裸の胸と、しなやかな筋肉を思い出して顔が熱くなってしまった。
「イフリート、いいですか?」
「うむ。始める」
祭壇の両端に立ったイフリート様とノーム様が、目を閉じて呼吸を合わせ始めた。
神殿中の空気が、まるで凪いだ海のようにシーン……と静まり返っていく。
『静寂』という名の音が部屋いっぱいに満ちて、私たち全員の呼吸が完全に一致した直後に、空気に含まれている“なにか”がざわめきだした。
「いま準備します。キアラさん、エヴルさん、向かいあって祭壇のまえに立ってください」
「準備?」
なんの準備なのかわからないけれど、とりあえず私とエヴルは言われた通りに祭壇前に向かいあって立った。
「もっとくっついて立ってください」
「こう?」
「もっとくっついてください」
「こ、こう?」
もっともっとと要求されて、結局お互いの胸が密着するほどの至近距離になってしまう。
背の高いエヴルの胸元にオデコをくっつけたら、彼の鼓動と匂いを直に感じて、胸がドキドキした。
精霊騎士の上着を通して、エヴルの鍛えられた男らしい体つきがわかる。
昨夜、初めて見た彼の裸の胸と、しなやかな筋肉を思い出して顔が熱くなってしまった。
「イフリート、いいですか?」
「うむ。始める」
祭壇の両端に立ったイフリート様とノーム様が、目を閉じて呼吸を合わせ始めた。
神殿中の空気が、まるで凪いだ海のようにシーン……と静まり返っていく。
『静寂』という名の音が部屋いっぱいに満ちて、私たち全員の呼吸が完全に一致した直後に、空気に含まれている“なにか”がざわめきだした。