最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
私はキュッとエヴルの上着を掴み、委ねるように身を寄せた。
エヴルの胸がピクリと動き、次の瞬間、歓喜するように両腕で私の体をギュッと抱きしめる。
唇を重ね合いながら、私たちは固く抱き合い、心から確信し合った。
ああ、私たちはこんなにも想い合っている。
この事実はもう誰にも変えられない。もう、誰にも……。
邪魔されたく……ない……。
―― バターン!
「キアラ嬢、お加減が優れないと聞いたが、大、丈……」
勢いよく扉が開く音と人の声がして、私たちはバッと唇を離した。
反射的にそちらに目を向けた私は、そこに最悪の人物の姿を見つけて全身からサーッと血の気が引く。
大きく開け放たれた両開きの扉の真ん中に、ティボー様が呆然と立ち尽くしていた。
普段は顔のお肉に埋もれてしまうほど小さな彼の両目が、見たこともないほど大きく見開かれている。
その驚愕の表情から、これは最悪の状況に陥ってしまったと瞬時に悟った。
……見られてしまった! 一番見られてはいけない人に!
誰にも邪魔されたくないと願ったその瞬間に、ちょうど邪魔しに入ってくるなんて、この人どれだけ間が悪いんだろう!
エヴルの胸がピクリと動き、次の瞬間、歓喜するように両腕で私の体をギュッと抱きしめる。
唇を重ね合いながら、私たちは固く抱き合い、心から確信し合った。
ああ、私たちはこんなにも想い合っている。
この事実はもう誰にも変えられない。もう、誰にも……。
邪魔されたく……ない……。
―― バターン!
「キアラ嬢、お加減が優れないと聞いたが、大、丈……」
勢いよく扉が開く音と人の声がして、私たちはバッと唇を離した。
反射的にそちらに目を向けた私は、そこに最悪の人物の姿を見つけて全身からサーッと血の気が引く。
大きく開け放たれた両開きの扉の真ん中に、ティボー様が呆然と立ち尽くしていた。
普段は顔のお肉に埋もれてしまうほど小さな彼の両目が、見たこともないほど大きく見開かれている。
その驚愕の表情から、これは最悪の状況に陥ってしまったと瞬時に悟った。
……見られてしまった! 一番見られてはいけない人に!
誰にも邪魔されたくないと願ったその瞬間に、ちょうど邪魔しに入ってくるなんて、この人どれだけ間が悪いんだろう!