最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
だって英雄の人数がいきなり増えたうえに、『それは異世界から訪れた女の人でした』なんて非常識なことを言われても……。
これ以上理解不能な話は、できればご遠慮願いたい。
すでに許容範囲オーバー気味なんだから。
「信じがたい話ではあるが、世界の危機を前に、奇跡が起きた。この世を救うべく、かの者は別世界から忽然と現れた。まさに運命の如く」
「そしてうんめいのように、ジンと彼女は、種族の壁をこえて心からあいしあったんです。でも戦いがおわって、彼女は自分の世界へもどらなければなりませんでした」
「ジンは愛ゆえに女人の後を追い、異世界へと渡った。そして女人と共に生きた」
私は何度も瞬きしながら、一緒に話を聞いていたエヴルと顔を見合わせた。
建国神話は、小さい頃からそれこそ耳にタコができるほど繰り返し聞かされてきたけれど、そんな逸話は聞いたこともなかった。
「あの、それ、本当なんですか?」
「はい。ながい歴史のながれの中で、その事実は埋もれてしまったのです」
「じゃあ私は、ジン様とその異世界の女性との間に生まれた子どもの、子孫?」
「うむ。ジンの子は精霊としての能力が非常に強かった。あちらの世界では、生きづらい身であった」
「だからジンは、こちらの世界のわたしたちに、生まれた子をたくしました。その子が精霊家の初代です」
「世界間の移動が叶うは、一度だけ。ジンはもうこちらの世界には戻れぬ。ゆえに我らが親代わりとなり、身を隠しながら子々孫々まで、行く末を見守ることにした」
これ以上理解不能な話は、できればご遠慮願いたい。
すでに許容範囲オーバー気味なんだから。
「信じがたい話ではあるが、世界の危機を前に、奇跡が起きた。この世を救うべく、かの者は別世界から忽然と現れた。まさに運命の如く」
「そしてうんめいのように、ジンと彼女は、種族の壁をこえて心からあいしあったんです。でも戦いがおわって、彼女は自分の世界へもどらなければなりませんでした」
「ジンは愛ゆえに女人の後を追い、異世界へと渡った。そして女人と共に生きた」
私は何度も瞬きしながら、一緒に話を聞いていたエヴルと顔を見合わせた。
建国神話は、小さい頃からそれこそ耳にタコができるほど繰り返し聞かされてきたけれど、そんな逸話は聞いたこともなかった。
「あの、それ、本当なんですか?」
「はい。ながい歴史のながれの中で、その事実は埋もれてしまったのです」
「じゃあ私は、ジン様とその異世界の女性との間に生まれた子どもの、子孫?」
「うむ。ジンの子は精霊としての能力が非常に強かった。あちらの世界では、生きづらい身であった」
「だからジンは、こちらの世界のわたしたちに、生まれた子をたくしました。その子が精霊家の初代です」
「世界間の移動が叶うは、一度だけ。ジンはもうこちらの世界には戻れぬ。ゆえに我らが親代わりとなり、身を隠しながら子々孫々まで、行く末を見守ることにした」