最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
精霊家の騎士であるエヴルが、「失礼します」と不機嫌そうな顔で入室してきた。
エヴルが姿を現した途端、部屋中の空気がふわりと色めき立つように華やぐ。
精霊騎士の正装である、漆黒のジャケットを彩る金刺繍の明るい輝きが、彼の艶やかな黒髪に映えてよく似合っていた。
瞳の色も黒曜石のような黒色で、左右対称の美を誇る彫りの深い顔立ちは、そこいらの王侯貴族よりも品がある。
均整の取れた体躯から漂う気配は、腰に差している長剣に相応しく鍛えられた騎士のもの。
立ち居振る舞いも顔立ちも、彼は田舎騎士とは思えないほど洗練されていた。
「エヴル、どこに行っていたの?」
「公爵家の方々と、これから始まる婚約式の打ち合わせをしておりました」
「そう。ごめんね、こっちの人手が足りなくていつも忙しい思いをさせてしまって」
「孤児で下男上がりの私のような者に、もったいないお言葉です」
そう言って丁寧な所作で頭を下げるエヴルは、幼い頃に精霊家に引き取られて下男として育てられていた。
でも剣術の才能に恵まれていることがわかって騎士団見習い員になり、厳しい鍛練を受けた末、晴れて精霊騎士の仲間入り。
私の身辺護衛兵として実家からついて来てくれた彼は、その見惚れるような美しい容姿と気高い雰囲気のおかげで、いまや公爵家で注目の的だった。
エヴルが姿を現した途端、部屋中の空気がふわりと色めき立つように華やぐ。
精霊騎士の正装である、漆黒のジャケットを彩る金刺繍の明るい輝きが、彼の艶やかな黒髪に映えてよく似合っていた。
瞳の色も黒曜石のような黒色で、左右対称の美を誇る彫りの深い顔立ちは、そこいらの王侯貴族よりも品がある。
均整の取れた体躯から漂う気配は、腰に差している長剣に相応しく鍛えられた騎士のもの。
立ち居振る舞いも顔立ちも、彼は田舎騎士とは思えないほど洗練されていた。
「エヴル、どこに行っていたの?」
「公爵家の方々と、これから始まる婚約式の打ち合わせをしておりました」
「そう。ごめんね、こっちの人手が足りなくていつも忙しい思いをさせてしまって」
「孤児で下男上がりの私のような者に、もったいないお言葉です」
そう言って丁寧な所作で頭を下げるエヴルは、幼い頃に精霊家に引き取られて下男として育てられていた。
でも剣術の才能に恵まれていることがわかって騎士団見習い員になり、厳しい鍛練を受けた末、晴れて精霊騎士の仲間入り。
私の身辺護衛兵として実家からついて来てくれた彼は、その見惚れるような美しい容姿と気高い雰囲気のおかげで、いまや公爵家で注目の的だった。