最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「だから人間のことは、ぜんぶ人間がきめて、人間がうごかして、人間がその結果のせきにんをとる。神や精霊は、それに手出しや口出しはぜったいしちゃいけないんです」

「これは世界を保つための、永遠不変の取り決めなり。破れば我らとて厳しい断罪は免れぬ」

「そ、そうなのですか……」

 きっとかつての盟友の末裔たちを見守ることさえ、許されるギリギリの行為なんだろう。
 だからイフリート様とノーム様は、精霊であることをずっと隠し続けてきたのね。

 だとしたら私とエヴルを助けた時点で、かなり大きなルール違反を犯してしまっている。

 あのときティボー様たちは全員気絶してたから、なにが起こったのかは知らないだろうけど、もうこれ以上モネグロス様たちは危険を冒すわけにはいかないんだわ……。

 うな垂れてしまった私とエヴルの姿を見かねたように、モネグロス様が声をかけてくれた。

「そんなにガッカリしないでください。方法ならまだありますから」

「方法? どんな方法ですか?」

「簡単です。その『バカ息子』とかいう男ではなく、エヴルが王位を継げばよいのですよ」

「……はい?」

「「「モネグロス!」」」

 大声と一緒に三方から飛んできた手に、モネグロス様の口がバシィ!と塞がれてしまった。

 苦しそうにモゴモゴしているモネグロス様の姿を見ながら、私とエヴルはキョトンとする。

 エヴルが王位を継ぐ? なんだかそう聞こえた気がするけれど……。
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