最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
 ところが事態は想像をはるかに超えて悪化して、精霊家存続の危機やら、私たちの死罪云々にまで至ってしまった。

 おまけに私は精霊の力が目覚めてしまったし。
 そのせいで、絶対に秘密にしなければならない神と精霊の存在までバレてしまって。

 しかも芋づる式にエヴルの出生の秘密まで明るみになっちゃって、次から次へと予想外の事態が絶賛展開中。

 もはや神様や精霊様さえ、収拾をつけられない最悪な状況のど真ん中。
 ……ということなのか。

 考えれば考えるほど、八方塞がり、万事休す、行き詰りの崖っぷち。
 『こんなバカな』の大盤振る舞い状態だ。

 しかもすぐ隣に神様がいらっしゃるのに、問題をひとつも解決してもらえないって、どんな悪夢なんだろう。

 ……このモネグロス様って、いったいなんの役に立ってる神様なんだろうか?

「図らずも、こうして輪のようにすべてが明らかになったのは、定めなのかもしれません。エヴルよ、きっとあなたが王位を継ぐべきなのですよ」

「にわかには信じられないお話です」

 ようやく少し自分を取り戻したらしいエヴルが、掠れた声でモネグロス様に答えた。
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