最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「その心配は無用です。あなたが本物の王子であることを証明する手立てなら、ちゃんとありますから」
「「「モネグロス!」」」
「だから、さきほどから何度も言っているでしょう! 一度助けておきながら、見捨てることなどできませんよ!」
モネグロス様が、これまでになく強い口調で言い切った。
「生き延びた彼には、自分の両親と再会できる可能性がありました。少なくとも会うか会わないか選択できる権利があったのに、私達はそれを自分たちの理屈と都合で、こっそり握りつぶしてしまったのです」
その言葉に精霊様たちはグッと黙り込み、エヴルは憂いに染まった目をそっと伏せた。
自分は孤児だと信じ込んでいたエヴルにとって、『親』という存在は特別な意味を持つものだったろう。
でももう……彼は永遠に自分の両親に会うことは叶わない。
手にできたはずなのに、消えてしまった未来。可能性。
それが自分の手の届かない所で勝手に芽を摘まれてしまっていたのだとしたら、たしかに理不尽というべきだろう。
「エヴルには選ぶ権利があるのです。私たち自身が、彼にそれを与えた。再びその権利を私たちが奪うことは、はたして許されるのでしょうか?」
「「「モネグロス!」」」
「だから、さきほどから何度も言っているでしょう! 一度助けておきながら、見捨てることなどできませんよ!」
モネグロス様が、これまでになく強い口調で言い切った。
「生き延びた彼には、自分の両親と再会できる可能性がありました。少なくとも会うか会わないか選択できる権利があったのに、私達はそれを自分たちの理屈と都合で、こっそり握りつぶしてしまったのです」
その言葉に精霊様たちはグッと黙り込み、エヴルは憂いに染まった目をそっと伏せた。
自分は孤児だと信じ込んでいたエヴルにとって、『親』という存在は特別な意味を持つものだったろう。
でももう……彼は永遠に自分の両親に会うことは叶わない。
手にできたはずなのに、消えてしまった未来。可能性。
それが自分の手の届かない所で勝手に芽を摘まれてしまっていたのだとしたら、たしかに理不尽というべきだろう。
「エヴルには選ぶ権利があるのです。私たち自身が、彼にそれを与えた。再びその権利を私たちが奪うことは、はたして許されるのでしょうか?」