最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「事実から目を背け、逃げ出したところで、そこに私の居場所はない。ならば私は運命と正面から向き合い、戦うことを望みます」
体の芯からどんどん冷たい悲しみが溢れだし、いまにも泣き出しそうになってしまって、唇をキュッと噛んだ。
でもエヴルの言葉は、砂漠に吸い込まれる水のようにスゥッと心の奥まで沁みてくる。
彼の言う通りだ。
逃げ出した先に、居場所なんかない。ましてや幸せなどありえないことは、わかりきっている。
それでも逃げ出そうとした弱虫な私と違って、エヴルは困難と向かい合うことを立派に決意した。
「偉いわエヴル。その通りよ」
少し鼻声になってしまったけれど、私はエヴルの勇敢な意思を讃えた。
かすかに震える唇を無理やり微笑ませて、必死に笑顔を作る。
やっぱり……予感、的中しちゃった。
あなたは、私の手の届かない場所へ行ってしまうのね。
でも私にはそれを咎める権利も、止める権利もありはしない。
正統な王位継承者のエヴルこそが、この国の王となるべきだ。
輝かしい未来に旅立つエヴルを、見送るべきだ。
大好きなあなたとの別れを、笑って受けいれるべきなんだ……。
零れそうな涙を懸命に堪え、痛みを押し隠しながら笑顔を取り繕う私とは対照的に、エヴルは心底明るい声を出す。
「キアラ様、では私が王位に就くことを、受け入れてくださるのですか!?」
「ええ……もちろん」
「ありがとうございます! きっとキアラ様を幸せにするとお約束します!」
「……」
涙目で微笑みながら、私は内心「?」と首を傾げた。
体の芯からどんどん冷たい悲しみが溢れだし、いまにも泣き出しそうになってしまって、唇をキュッと噛んだ。
でもエヴルの言葉は、砂漠に吸い込まれる水のようにスゥッと心の奥まで沁みてくる。
彼の言う通りだ。
逃げ出した先に、居場所なんかない。ましてや幸せなどありえないことは、わかりきっている。
それでも逃げ出そうとした弱虫な私と違って、エヴルは困難と向かい合うことを立派に決意した。
「偉いわエヴル。その通りよ」
少し鼻声になってしまったけれど、私はエヴルの勇敢な意思を讃えた。
かすかに震える唇を無理やり微笑ませて、必死に笑顔を作る。
やっぱり……予感、的中しちゃった。
あなたは、私の手の届かない場所へ行ってしまうのね。
でも私にはそれを咎める権利も、止める権利もありはしない。
正統な王位継承者のエヴルこそが、この国の王となるべきだ。
輝かしい未来に旅立つエヴルを、見送るべきだ。
大好きなあなたとの別れを、笑って受けいれるべきなんだ……。
零れそうな涙を懸命に堪え、痛みを押し隠しながら笑顔を取り繕う私とは対照的に、エヴルは心底明るい声を出す。
「キアラ様、では私が王位に就くことを、受け入れてくださるのですか!?」
「ええ……もちろん」
「ありがとうございます! きっとキアラ様を幸せにするとお約束します!」
「……」
涙目で微笑みながら、私は内心「?」と首を傾げた。