最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
 私は眉間に皺を寄せながら、いまの会話の内容を理解しようと努めた。

 愛と喜び? 子ども? 妻になる?
 この単語の連発から導き出される答えは、つまり……?

「……ええー!?」

 ようやく正確な意味が理解できた私は、素っ頓狂な声を張りあげてしまった。
 も……も……。

「もしかして私、エヴルに結婚を申し込まれてるの!?」

「……え? あの、キアラ様、先ほど王妃になることを納得してくださったんですよね?」

「してないわよぜんぜん!」

「ええ!? だってキアラ様は、私が王位に就くことを承諾してくださいましたよね!?」

「それはしたけど、エヴルが王位に就ことと、私が王妃になることはまったく別問題でしょう!?」

「まったく同じ問題ですよ!」

「どこがよ!?」

「私たちは誓いの口づけを交わしたでしょう!?」

「し……したけど! それは、たしかにキスはしたけれど! でもだからって!」

「私たちは誓いあったのです。キアラ様は私の唯一無二。永遠の想い人なのですから、なにがあっても放しはしません」
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