最初で最期の恋



この病気になってから、この白い病室でずっと過ごしている。


誕生日も家族が旅行に出かけた日も

クリスマスもお正月も

どんな記念日があったって、



あたしはこの白いハコからは出ることが出来ない




毎朝、起きたら白い天井が見える


その白い天井じゃない時もあった。


たくさんのコードや器械に繋がられて、


喋る事も動く事も出来なかった




そんな景色が見えた時は…



死んじゃうんだ…




そう思っていた


最近は終わりが近づいてきたのか、

楽な時が多い。


多分、もうあと少しで最期を迎えるあたしに

神様が幸せな時間をくれたんだ



どこにも行けなくたって、手足が動くのは嬉しい


食べ物を食べれることは嬉しい


些細なことでさい、幸せに感じるんだ



「おはよう、小春ちゃん」


この人はあたしの担当医の川辺先生。


病気になってからずっと変わらない



あ、あたしの紹介忘れていたね。


本谷小春17歳、


病院のと繋がっている隣の公園でお花とか川とか見るのが好き。


すぐ近くの高校から聞こえる野球部の声に耳を澄ませるのも好き


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