最初で最期の恋



「はい、今日も書いてね」



白い紙とボールペンを差し出された。


毎朝この紙にあいうえおって書くの

筆圧が低下してないかチェックするらしくて

いつものようにペンを滑らしていく


「書きました」


「うん、……」




あぁ…



きっと筋力が低下してるんだ


「あ…そうだ、今日は検査も何もないから自由にくつろいでていいよ」


自由にくつろぐ…



それならあたしは家に帰りたいよ



お母さんのご飯を食べたいし



妹ともたくさん話をしたい



お父さんと一緒にサイクリングをしてみたい



あたしの願いはいくら願ってもかなわない。



ただ夢をみつづけることしか出来ない。


「うーん…どうしようかな」


あ、そうだ。


あの公園に行こう!


そこに行けばすごく心が落ち着くから



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