確かに君は此処に居た
5.君が視えるヒト
「…夢じゃなかったんだ…」

ふよ②と浮く明を見て、伽夜はしみじみと呟いた。あの後、伽夜は寝直して時刻はもう夕方に近い。

「夢の方が良かったかな?」
「いいや、そんなわけないよ!ねえ、今から学校行く?善は急げって言うし」
「でもさ…もうすぐ夕方だし、日も短くなってきたから暗くなるよ」
「平気。だって、明くんいるし﨏防犯面も大丈夫だよ」
「いや、僕幽霊だから他の人に視えないよ?」
「あー根性で何とかするよ。さあ、行こう!」

リビングを出た伽夜を明は追いかけた。


マンションの下の駐輪場。
比較的広い駐輪場には長く使われていなそうな自転車や倒れてしまった自転車がある。

「明くん、後ろ乗れる?」

赤い自転車に乗った伽夜は後ろの荷台を叩いた。

「多分乗れるけど…自信がないなあ」
「一体、何の自信?」
「自転車の二人乗りなんてしたことないから」
「えっ!?したことないの?」
「うん、ないよ」

大きく頷く明。

「まあ、人生経験よ。明くんは来世にこの経験を生かそう」
「…う、うん、そうするよ」

明を後ろの荷物台に腰を座らせた。

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