確かに君は此処に居た
「違うよ!私の不注意で…」
「いーや、違うもんね。僕はちゃんと見ました。何にも確認せずに道に出てきたんだから!だから、こいつも悪いよ」
「……」
「ねえ、お互い様って意味知ってる?」
「そのくらい知ってる」
「今…認めたね。自分も悪いって認めたよね?」

明は大久保の眼前まで顔を近付け、念をさす。その気迫に負けて、大久保は数回頷いた。それを見て、明は満足げに微笑んだ。

「女の子の身体を傷付けた罪は重いっ!だから手伝ってもらうよ?」
「………は?」
「…言っておくけど、断ったら僕が全身全霊込めて悪戯するからね」
「………」

(ああ、黙り込んじゃった)

仏頂面の大久保の顔がさらに歪む。明の全霊全霊の悪戯か、協力するかで迷ってるらしい。

「手伝ってもらうって、まさか…指輪?」
「うんv人数は多い方が伽夜に負担かけなくて済むからね」
「指輪を探すのか?」

二人が話すのを聞いていたのか、大久保が明に問いかけた。

「そーだよ。それは僕がじっくり話してあげる。その前に伽夜を連れて帰るから。もう暗くなってきたし」

思えば、公園で遊ぶ子供たちの賑やかな声は消えて、太陽が西へ沈みかけていた。

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