確かに君は此処に居た
「あ、あれ?もしかして、起こすの遅かった?ごめんね」
「逆、逆!起こしてもらうの早かったかも」
「…早い?もうお日様は登っているのに?」
「明くんの起床時間って何時が普通なの?」
「僕?6時前だよ」

嘘ー!と驚きの声が上がる。明の時間感覚的に言えば、今の時刻は起きるのに遅いらしい。

「かなり早くない?」
「そーかな。前は起床して、軽い診察して、朝御飯で、検査やまた診察…って感じだったけれど」
「入院していたの?」
「物心ついた頃から入院してたよ」

入院と聞いてふと、一昨日聞いた先生の言葉が甦る。

『…心臓病だったらしいな。本当に残念だ』

「……心臓病?」
「そう!よくわかったね。原因不明の心臓病で、移植も出来ない状態だったけどね。まあ、今はこうやって健康?なんだし」
「幽霊って健康、不健康ってあるの…?」
「いや多分、幽霊はみんな健康だよ」

幽霊=健康。
実に変な式である。
明は、よいせっと立ち上がり

「じゃあ僕はリビングにいるね。家政婦さんが今、用意してるとこだから…もうすぐできると思うよ」
「分かった、ありがとう」

と、ドアを通り抜けて行った。

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