確かに君は此処に居た
「…はあ」

溜め息1つ。
ごろんと、再びベッドに寝転がって天井を見上げる。

「…顔…近かったな…」

思い出してみる。
回想と共に鼓動はひとりでに早く打つ。

(…キス出来そうな距離だった…)

あのままどちらかが
顔を近付けていたら…

「うわああっ!…あ、でも」

肝心なことを忘れていた。

「明くんは幽霊だもん」

そう、明は幽霊。
今、ドアをすり抜けていくのを実際見たように、明は壁などの物理的障害物は通過できるのだ。

「だから、大丈夫!」

言っている自分さえ何が大丈夫なのかは分からなかったが、
浮かれた熱を吐き出すように伽夜は勢い良く、カーテンを開けた。






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