秘密 ~生徒に恋して~
話が逸れた…
その柴田くんが、眉毛を下げて心配そうに私を見下ろしていたのだ。
「…あ…うん…多分、大丈夫」
ゆっくり目を開けたものの、頭がクラクラして動けない。
「おいっ!救急車呼べよ!」
誰かが興奮気味に叫んでいる。
「いや~…ボールがぶつかったぐらいでそれはマズイだろ」
どこかで悠也の声が聞こえた。
私も救急車は勘弁だけど…
そんなに心配してくれてないのかな…
そう思うと余計に頭がズキズキと痛んで来て、私は目を閉じた。
「保健の先生、呼んで来いよ」
そんな声が聞こえ、思わずツッコミを入れたくなった私の代わりに、また悠也の声がした。
「バカ、この時間は、いつも葉月先生だろ?」
さすがにいつも冷静な悠也だ。
いや、違う…単に他の連中がヌケ過ぎてるだけだ。
「水!」「保冷剤!」「タオルも?!」
などと、わらわらと慌てまくって騒ぐ声に囲まれ、私はただ脱力状態で目を閉じていた。