秘密 ~生徒に恋して~
悠也の乱れた息使いが聞こえ、吐く息が私の頬にかかる。
そして私の背中と膝の裏には、大きな手の感触。
私の身体の左側には、悠也のガッシリした胸。
細身とは言っても、やはりスポーツマン体型だ。
私の頭がボーッとして治らないのは、どうやらボールが当たったせいだけではないようだ。
私を抱えた悠也の隣を一緒に走って来た柴田が、先回りして私の靴を脱がせ、保健室のベッドの布団をめくってくれる。
私はベッドの上にゆっくり下ろされる。
悠也は、私の身体に衝撃を与えないよう、背中と頭の後ろを手で支え、自分の身体を添えるようにベッドに寝かせてくれる。
悠也の少し長めの髪が、私の頬にかかる。
何の整髪料なのか、少し甘くて男らしい香りが鼻をくすぐり、私はまためまいを起こしそうになった。
グラウンドと保健室との通用口のドアには、野球部の連中がつめかけて来ていて、口々に
「大丈夫か」と言う声が聞こえる。
みんなで心配してくれるなんて…可愛い生徒達だ。
始めのうち、睨んだり、何かとつっかかって来てた子達とは思えない。