秘密 ~生徒に恋して~
もうこれ以上、悠也と二人きりでいたら、私の心臓は持たない。
「ね、片瀬くん、私もう大丈夫だから。もう少しここで休んで、痛みが治まったら帰るから。だから練習に戻って」
「でも…」
「ありがとう。手当てしてくれて。もう本当に大丈夫」
「そっか…じゃあ」
悠也は立ち上がり、タオルをもう一度洗って冷やし、私の額に乗せると、保健室を出て行こうとした。
そして、ドアの前で私の方に振り返る。
「先生、ごめんな」
「えっ?…何が?」
「さっきの、俺が暴投したんだ。だから、柴田が捕りそこねて先生に当たった」
あぁ…そうか…そういうことなのね?
…罪悪感と責任感…。
私を運んでくれたのも、手当てをしてくれたのも…
理由が腑に落ちると、胸の奥がギュッと苦しくなった。