秘密 ~生徒に恋して~
悠也は私の左肩の向こうに手を回し、私の髪の一束を掴んで滑らせると、すぐに両手を離した。
「草…ついてた。」
私の髪に絡みついてた草を見せて、その場に捨てた。
「あぁ…さっき花壇で倒れた時の…。ありが…と…」
私がお礼を言っている間に、悠也の指が私の前髪を掻き上げた。
「やっぱり…。結構腫れてんじゃん。ホントに病院行かなくて大丈夫かな…」
「大丈夫だよ~。こんな腫れくらい、明日になったら引いてるって。心配しなくて大丈夫!」
「そっか…ならいいけど」
「気を付けて帰るのよ」
「気を付けるってほどの距離じゃねぇし。俺ん家、この堤防の向こう側。意外に近かったんだな。
じゃあな…先生」
悠也は軽く手を上げ、向きを変えて自転車を漕ぎ始めた。