秘密 ~生徒に恋して~
④ 彼のいた校庭
私の気持ちに関係なく、いつもと変わらない日々が続いて行った。
生徒達は、夏の大会を控えているので、どこの部活も真剣そのもの。
その為か保健室も大盛況だった。
ケガ人が多いのは嬉しいことではないが…。
悠也も、スライディングをして腕を擦りむいたとか、フライを捕るのに必死になってフェンスに激突して頭を打ったとか、何だかんだと保健室を訪れた。
他の男子生徒に対しては、真似ごとではあるもののナース気分で接することができるのに、悠也が相手だと私はからきしダメだ。
小学生の児童達は、傷口を見るのが怖いのか、手当てをしていても目を逸らしている子が多い。
けれど、高校生ともなると自分の傷がどうなってるのか気になるのか、それとも無意識なのか、手当てをしている私の手元を見ていることが多い。
無意識の行動とは言え、悠也に見られていると、尋常ではないくらいアガってしまう。
ピンセットやハサミを落としたり、絆創膏を机の上に出しているのにまたもう一枚出したり、ゴミ箱につまづいてひっくり返したり…。