秘密 ~生徒に恋して~
「先生、ありがと…」
悠也は、耳元で呟くように言うと身体を離した。
「幸せになれよ。絶対、なってくれよ」
真剣な眼差しでそう言った後、クシャッとした笑顔を見せた。
あぁ…私はこの笑顔が、とてもとても好きだったんだ。
いや…それだけじゃない。
真剣にボールを追い掛ける姿も、
ちょっと乱暴とも言えるほどの男らしい態度も、
ぶっきらぼうな優しさも、
照れた時の子供のような顔も…
彼の全てが、好きで好きでたまらなかったんだ…。
ずっと一生懸命抑えていた想いが、一気に溢れ出しそうになる。
その胸に、もう一度飛び込みたいと願ってしまう。
私は両手を握りしめ、想いが暴れ出さないように必死に耐えた。