秘密 ~生徒に恋して~
⑥ 天罰
窓から柔らかな朝の光が差し込み、私は目を覚ました。
夢の中でも泣いていたようで、私の睫毛や頬は涙に濡れていた。
まだ悠也の唇と、優しい腕や胸の感触が、鮮明に身体に残っている。
すぐに起き上がる気分ではなかったが、とにかく顔を洗おう…そう思って、のろのろと起き上がった。
鏡を見ると瞼が腫れていた。
今日が土曜日で、しかも何の予定もない日で本当に良かった。
こんな顔で外に出たら、誰が見ても何か悲しい出来事があったに違いないと勘ぐられるに決まっている。
しかし、何の予定もない一日をどう過ごしたらいいのだろう。
仕事に行けば、生徒達の中にどうしても悠也の姿を探してしまう。
それでも、仕事をしていた方が気は紛れる。
今日一日、誰とも会わずに一人でいたら、同じ想いがエンドレスで頭の中を巡るのはわかり切っていた。