秘密 ~生徒に恋して~
それから二ヶ月…
私は保健室の窓から、ぼんやりと外を眺めていた。
校庭の周りを囲む背の高い木々達も、すっかり葉を落とし、季節の移り変わりを知らせている。
今年も、もう一ヶ月足らずで終わりだ。
寒空の下で部活に励む生徒達の中に、悠也の姿はもうない。
最初で最後のキスを交わしたあの日を境に、悠也への想いと決別するつもりだったのに、弱い私は二ヶ月経っても変わることができないでいた。
あれから悠也とは会っていない。
自分の授業が、三年生の担当でなくて本当に良かったと思った。
二年生の授業で教室に通う私は、三学年が共通で使う中央階段を避け、二年生教室奥の階段を利用して、悠也と会うのを避けていた。
悠也も私と同じような想いで、私を避けているのだろうか…
そんなふうに考えるのは私の自惚れで、もうすっかり気持ちを切り替えているのかも知れない。
いつまでもグズグズしているのは、きっと私だけだ…
自己嫌悪に陥り、私は大きく溜め息をついた。