秘密 ~生徒に恋して~


悠也から告白を受けた二日後の衣装合わせの日、私は彼から別れを切り出された。


「衣装合わせ、本当に行きたいと思ってる?
それって結婚式の準備が着実に進むってことだよ。いいの?
なぁ、葉月…。俺達、……もう無理だ…。
君の心が俺になくなったこと、気づいてたよ。
誰か好きな人がいるんだろ?
そんな気持ちのまま、俺と結婚するつもりなの?
俺はそんなのはご免だ」
…と。

「それでも、君が別れを切り出して来ないから、時が過ぎれば元に戻れると期待もした。
でも、ダメなんだろ?
俺も悩んだんだよ。
だけど、そんな俺の気持ちを支えてくれた女性が居てね…やっと前を向こうと思えたんだ。
ずっと愚痴や相談相手だったその彼女が、今は俺にとって大切な存在になりつつある。

だから…もう別れよう。
お互い、自分の心に正直になろうよ。
君も好きな人の前でなら、ちゃんと笑顔になれるんだろ?」
 
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