秘密 ~生徒に恋して~
⑦ 強い腕 優しい腕
「私が、他の人を好きになったから…
だから、彼は離れて行ったのよ」
「何だよ、それ…。…ふざけんな…」
悠也が絞り出すような声で言った。
「北川に聞いてたよ。先生の彼氏、学歴も社会的地位もある立派な人だって。
その上、とっても優しくて、先生にお似合いの人だって…。
………だから……だから、俺は……」
悠也は悲しい色を漂わせた目で、私を見た。
「そんな素敵な人なら、先生を絶対幸せにしてくれるだろう、って思ったんだよ」
悠也の悲しい目がだんだん怒りに変わり、ズカズカと私に近づいて来た。
私は、反射的に後退りをする。