秘密 ~生徒に恋して~
悠也は、床に転がり落ちたボタンを見ると、私から手を離した。
「い…や…」
私は、はだけたシャツの胸元を両手で抱くようにガクガクとその場に座り込んだ。
途端に溢れ出る涙。
悠也は、私の涙を見ると、ふと我に返ったように立ち尽くす。
「せ、先生!…ごめ…」
悠也は泣いている私の前にしゃがみ、肩に手をかけたが、私の身体はビクッとして、無意識に悠也の手を拒絶した。
悠也は弾かれたように立ち上がり、数歩後ろへ下がった。
「…ごめん、先生。俺…」
私は何も言えず泣き続けている。
言葉が凍ってしまったかのように、お互いに何も言えず暫く時が過ぎた。