秘密 ~生徒に恋して~
『悠也(はるや)』
…私が絶対に口に出して呼べない名前。
その愛しい人は、今、仲間と共に煌めいている。
私の絶対に手が届かない、眩しい世界で。
真剣な眼差しでボールを捉え、打つ姿。
身体中の筋肉を震わせ、走る姿。
飛んで来たボールをキャッチして、歯を食いしばり投げる姿。
失敗した時の、クシャッとした苦笑いの顔。
教室で窓の外を眺めている時の、どこか憂いを含んだような表情も、
仲間達とじゃれ合ってる時の無邪気な表情も…。
彼の全てを…
いつからこんなに好きになってしまったんだろう…
彼は、生徒なのに…
私は、教師なのに…
私には、恋人がいるのに…。