秘密 ~生徒に恋して~


床に座り込んでいる私の横に、自分の脚の間に挟むように悠也も座り、私の顔を覗き込む。

私の背中を左腕で抱き、頬の涙をそっと親指で拭ってくれた。

そして、悠也の唇は、その涙の跡を何度か啄むように拭いながら、私の唇に下りて来た。

私の髪の中に手を滑り込ませると、唇を愛おしむようにゆっくり、優しく、悠也の唇が包む。



あの日の切ないキスとも、さっきの怒りを含んだキスとも、まるで違う。
優しさと愛おしさのこもったキスに、私は胸を締め付けられる想いがした。

暫くして唇を離すと、悠也は私の目を覗き込み、とても優しい微笑みを見せてくれた。



「先生、ごめん。こんなとこに座ったままじゃ、スカート汚れちゃうな」

悠也は私の片手を取り、脇を抱えるように立ち上がらせてくれた。

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