秘密 ~生徒に恋して~
空はとても高く、雲は透き通るほど白く美しく、私のこんな想いは、まるで似つかわしくない。
爽やかな空を見上げると、この世でたった一人だけ取り残されたような気がして、涙が込み上げて来そうになった。
私はそんな気持ちを振り払うように、その場にしゃがみ込み、花の周りの草取りを始めた。
彼の姿をずっと見てても悲しくなるだけだ。
暫くの間、私は草取りに没頭していた。
「葉月(はづき)先生、危ない!」
そう誰かが私の名前を叫んだ声に、私は立ち上がり振り返った。
…その瞬間、白いボールが目の前に見えたと思ったら、考える間もなく、世界は一瞬にして真っ暗になった。