秘密 ~生徒に恋して~
バスの中は人もまばらで、一番後ろの端の席に座った悠也の隣に、私も座った。
悠也は他の人に見えないように私の手を取り、指を絡めると、呟くように言った。
「先生、ごめんな。俺なんかのことで結婚ダメになるなんて、ホントに何て言ったらいいのか…」
「片瀬くんが責任感じることじゃないのよ。私の気持ちの問題だったんだから。
それに、あのまま結婚しても、お互いの為にならなかったわ。これで良かったのよ」
「学校は?札幌行かないなら、辞めなくていいんだろ?」
「もう今年度で辞めるって校長に話しちゃったし。地元に戻って次の仕事探そうかと考えてた。教員免許あるから何とかなるわよ」