秘密 ~生徒に恋して~
大きな川を渡り切った所にあるバス停から、少し戻ると堤防があり、私と悠也の家は堤防の右と左に分かれた所にある。
今日は私が送り届ける役割だったにも関わらず、悠也は夜道は危ないから送って行くと言って聞かなかった。
この場所に二人でいるのは三度目だ。
去年の夏は、もどかしい想いで悠也の後ろ姿を見送った。
夏の風の匂いが切なさに拍車をかけた。
今年の秋、思いがけなく悠也から告白された。
遠慮がちなキス、優しい抱擁…。
空にはおぼろ月。
悠也の涙を感じて、私もこの堤防の下で思い切り泣いた…。
そして今、愛しい人は、私の手を握り、隣を歩いている。