秘密 ~生徒に恋して~
「手、冷たいな」
そう言って、悠也は私の手を握ったまま自分のポケットに入れた。
雪でも降って来そうなほど空気は冷たかったけれど、心の中はとても温かかった。
春には、私達の関係はどうなるのだろう…。
私は、実家のある神奈川で仕事を探し、帰るつもりでいた。
悠也の卒業後の進路は、全く聞かされないまま…
この堤防の桜を二人で見たいけど、わずか数ヶ月先の、春の二人の予想図は全く見えていない。
でも、敢えて先のことは考えないことにした。
せっかく想いが通じ合ったのだから、今はこの幸せを噛みしめていたかった。