秘密 ~生徒に恋して~


新しい年が開けて、1月のある朝…


校門を抜け昇降口に向かい歩いていると、私が受け持っている二年生の女子が数人、上擦った声で騒いでいる。

何かと思い近付いて行くと、女子の一人が私に気付いて走って来た。 

「葉月先生!」

「おはよう。どうかしたの?」 

「いいからちょっと来て~!こっちこっち」



手を引かれるままに、その女子グループの中に行くと、その子達の視線の先は、野球部の朝練中のグラウンド。

一、二年生の現役部員に混じって、悠也と、矢野、柴田の姿があった。
三人は、学ランを脱いだ制服姿。

ピッチャーマウンドには矢野。
キャッチャーのポジションには柴田。
当時のバッテリーだ。


そしてバッターボックスには、悠也がバットを持って立っている。
< 91 / 111 >

この作品をシェア

pagetop