秘密 ~生徒に恋して~
⑩ 卒業
卒業式の日、空は青く澄んで、風はやや冷たいものの、春の暖かさを感じる日になった。
体育館の中に、生徒達の名前を呼ぶ声が厳かに響き渡る。
共に三年間をここで過ごした卒業生の、晴れがましく凛とした返事が、天井に向かって突き抜ける。
私もこの生徒達と共にこの学校に来て、そして同じようにここを去って行く。
私の中でも、自分自身のささやかな卒業式だ。
様々な出来事が頭の中を駆け巡り、涙が溢れた。