乙女は白馬に乗った王子を待っている
いつものオチで話しが終わったところで、ゆり子は業務に戻る。
あんな風に言うのが、ゆり子がここへ来だしてからの「お約束」みたいなものだったが、少しずつ、良い反応が出て来ているのを最近は肌で感じていた。
もちろん、大もうけにはまだまだほど遠い状態なことは間違いなさそうだったが、最近は、もしかしたら何とかなるんじゃないか、という気もしてきている。
ゆり子がパソコンに向かっていると、そう言えば、といった顔で高橋が言った。
「今週はさー、明日から三日間、また研修するだろ?」
「その予定ですが。」
「じゃあ、よろしく頼むよ。それから、今日、新宿で研修のセミナーがやってるんだけど、時間があったら、行ってきていいぞ。」
「研修のセミナー?」
「そう。主に、人事部の人なんかを対象にしたセミナーで、効果的な新人研修とか、どういうやり方をしたらいいか、とかそんな話。参考になるんじゃないか?」
「本当ですか!? 是非、行きたいです。」
「おし、じゃあ、行って来い。」
「はい、ありがとうございます!」