乙女は白馬に乗った王子を待っている

研修、なんて言っていても、自分のやってることがどの程度役に立つのか、そもそも役に立ってるのかどうか、全く自信のなかったゆり子にとって、こういう機会はすごく有り難い事であった。

それから、集中して業務を終え、何とか午後の3時過ぎには会社を出て、研修セミナーに行く事ができた。
 
セミナーに行ってみたら、中堅どころの人事部育成担当者、っていう感じの人もいたし、ゆり子のように、人材派遣会社の営業や人事担当という感じの人ももちろん大勢いた。

皆、熱心に聞いていたし、ゆり子は、もちろん、一生懸命やってはいたけれど、漫然とした自分のやり方がいかにいいかげんだったかも同時に自覚できた。

ちょっと意外だったのが、人事担当者たちが、従業員がいかに力を発揮させられるか、ということを真剣に考えているという発見であった。

ゆり子は、なんとなく、人事の人なんて、リストラ、使い捨て、としか考えてないとばかり思っていたから、従業員のことを考える人がいる、なんて想像もつかなかったのだ。



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