乙女は白馬に乗った王子を待っている

「うん、社長って吉野家が大好きなんだよねぇ。早い、安い、うまい、っていっつも宣伝してくるもん。」

その夜、そうそうにうちに帰ったさやかは、早速高橋のことをゆり子に聞いた。

「でもさ、デートで行くようなところじゃないよね?」

「だけど、3週連続でしょ? さすがにネタがつきたんじゃないの。あと、軍資金もね。」

「でも、まだ、三回だよ?もう少し、気使ってくれるかと思ったんだけどなー。さやかのこと、どうでもいい、って思われたのかなあ?」

「そんなことないって。だって、会ってくれたんでしょう? ま、あの社長が3週続けて同じ女と会ってるんだから、自信持っていいと思うよ。」

「だけど、本屋でも放っておかれたんだよ。」

「だから〜、気を許してるだけじゃない?」

ゆり子が何をいっても、さやかはぐじぐじと気にしているようだった。
これだから、男と付き合ったことがないヤツは、……と、ちょっとイライラとしてくるゆり子だが、これだって、翔太の手にかかれば、素直で純粋なかわいいコということになるのだろう。

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