乙女は白馬に乗った王子を待っている
ゆり子が毎日の様子を訊ねると、月星は、顔中に大きな笑みを浮かべて、毎日やってくるいろいろな訪問客のことを面白おかしく報告した。
知らない人と愛想よく話をしたりするのは全然苦ではないようで、どんな訪問者でも的確に対応できているのに、ゆり子は秘かに感嘆した。
確かに高橋の見る目は確かだったようだ。
「じゃあ、問題ないわね、この調子で頑張って。」
軽く話を終えるつもりだったのだが、ゆり子は急に表情を変えた。
「確かに、今はいいんですけど……、あの、これって、いつまでこうやって働けるの?」
「え?」
「だって、受け付け嬢って若いうちだけでしょ、有り難がられるのは。
だから、頑張ったっていつかはクビじゃん? そんなオバサンになったらまともな仕事があるの?」
「……それまでに結婚すればいいんじゃない?受け付け嬢だったら、どっかのエリートが見初めてくれるでしょう。」
何て無責任なことを言うんだろう。言ってて自分で自分が恥ずかしくなってくる。