乙女は白馬に乗った王子を待っている

はるかの話は人ごととは思えなかった。

「わかります!山根さん!! 
 今度は、あなたがやりがいを持って一生懸命働ける仕事を探しましょう!
 疲れて身体を壊すなんて、おかしいです。そんなに無理していては死ぬまで働けませんから! 
 山根さんはどんなことに興味があるんですか?」

いきなり咳き込むように言われてはるかの方が面食らったのだが、ゆり子はそんなことに全く気付かず、怒濤のごとくはるかを質問攻めにした。

はるかなんて、まだ24歳だ。
30を過ぎてしまった自分が諦めてしまったことを、まだまだやれるかもしれない。

そんな風に考えたら、身体なんか壊さず、不安を感じず、自分の未来を積み上げて行けるような仕事について欲しいと、猛烈に応援したくなった。

はるかは、かつての自分だ。
彼女が30になる時には、毎日不安を感じて、ビールにするか、第3のビールにするか迷うような生活は送って欲しくない。

結婚していてもしてなくても、楽しくビールで乾杯しているような人生であって欲しいではないか。


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