乙女は白馬に乗った王子を待っている
ドアの前で別れてから、ゆり子は急いで支度をした。
コタツの上に適当におつまみを並べると、ほどなくして翔太がやってきた。
「あれ、まだ、ドラマが始まるまで30分以上あるよ。」
「いいじゃん。ソーセージが食いたくて来ちゃったよ。」
「あー、じゃ、適当に始めてて。枝豆がゆだったら、そっち行くから。」
「わかった。」
リビングの方でがさごそと音がする。翔太がグラスや食器を用意してるに違いなかった。
テレビをつけて、おつまみも一通り並んだら、何だか楽しげな雰囲気になってきた。
「じゃ、かんぱーい。」
グラスを鳴らして、ビールを喉に流し込む。
「美味しい〜。」
翔太は、そう言って一気に半分ほど空にしたゆり子のグラスにビールを注ぎ足した。