乙女は白馬に乗った王子を待っている
「ね、麻衣ってカレシいないよね?」
「もう、いい加減傷口えぐるの、止めて下さいよ。
はい、確かに私は三浦さんとの婚約が破談になりました。
三浦さんが、結局万里子のヤツと結婚したのは権藤先輩だって聞いてるでしょ〜?
万里子のヤツ、三浦さんを騙して妊娠したんだから、大したタマですよぉ。」
お酒が入ってるせいか、必要以上に饒舌になる麻衣だった。
「じゃあさ、来週の金曜日、合コンしない?」
「合コン? いいですねぇ。後は誰が来るんですか?」
「さやか」
「ええー、いいんですか!? 権藤先輩とさやかさんとアタシだったら、はっきり言って、二人はアタシの引き立て役じゃあないですか。」
「ちょ、麻衣、アンタってどこまでも図々しいね。」
「えー、ホントのことを言っただけですよ。私はまだ25ですもん。」
「ふん、アラサーじゃないのさ。」
「いやいや、25はアラサーとは言わないでしょ。」
「四捨五入すれば30。小学校で習わなかった?」
「何言っちゃってるんですか、アラサーはアラウンドサーティーってことですから!!
25は全然30近くないし。アラサーじゃなくて、20代って言ってもらえませんかね!?」
「得意そうに言ってられるのもあと2年じゃ。27になった瞬間にアラサーってののしってやる。」
「27ってアラサーなんかい?」
「おう、立派なアラサーよぅ。」
こんなことを言っても後腐れなく楽しく付き合えるのだから、やっぱり麻衣とはウマが合うのだろう。一杯だけのつもりだったが、久しぶりの麻衣との飲みが楽しくて、気がつけば結構飲んでいた。