乙女は白馬に乗った王子を待っている

ゆり子は横山の顔をじっと観察した。
確かに、顔はイマイチかもしれないが、全体的にこざっぱりとしたそつのない格好だし、髪型などにも気を遣っている様子が見て取れる。身につけているものも、清潔感があるが高級品で固めているというわけではない。銀行員らしい分相応の堅実な感じは、むしろ好感がもてた。

その横山は、麻衣が朗らかに笑うと、満足したように鼻の下を伸ばしていた。横山に食い込んで、麻衣に勝てるだろうか?

横山と話しながら、きゃっきゃっと笑う麻衣にはいかにも若い娘さんの華やぎが感じられた。

若い娘さん……ってアタシはいくつなんだよ?

思わず、自分で自分にツッコミを入れてしまう。勝負は火を見るより明らかだった。

ゆり子はまた、向いに座っている東城のお腹を一瞥した。
…………。

「このおっさん、腹出てるなあ、とか思ってたでしょ?」

「え!?」

思わず固まる。
が、ゆり子もさるもの、すぐににこやかに返事をした。

「そんなこと、思ってませんてば。」

「その割りにはシビアな視線じゃないの。」

何だ、これは、自爆テロなのか!?
言うか、言うか、そんなこと、合コンの場で言うのか!?
このワイルド・ピッチ、アタシにどうフォローせえっちゅうんじゃい。


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