乙女は白馬に乗った王子を待っている
「でも、いい、って言ったわけじゃないからな。」
「……わかってます。だけど、社長、この前も言いましたけど、もっと広告だしましょうよ。」
「分かってる。それも今考えてる。権藤も何か考えついたらどんどん言ってくれる?
それより、仕事の募集、いくつかもらってきたぞ。早いとこやってくれる人を探さなくちゃ。」
「どんな仕事ですか?」
「一つは通訳。ロシア語の。権藤、誰か知り合いにロシア語の堪能なヤツ知らない?」
「え―—、知りませんよ―—。」
「なるべく早く欲しい、って言われたんだよなあ。どうにかして探せないかなあ。
スポット的な仕事じゃないらしくて、2、3年のスパンで欲しいらしいんだよな。出来れば貿易事務経験者がいいんだって。」
「………」
無茶苦茶だ。高橋はホント無茶苦茶だ。何でもかんでも仕事を振ってくる。
ゆり子はどうやって探すのか見当もつかなかった。