乙女は白馬に乗った王子を待っている
十分後、近くの飲み屋に行ってみると、東城とさやかが和気あいあいと飲んでいた。
「社長……、これは何ですか?」
「え? 何かまずかった?」
高橋はとぼけた顔をする。
「こういうの、だまし討ち、って言うんですけどね。」
「東城が、どうしてもまた権藤に会いたい、って言うから。」
「………この貸しは今度倍にして返してもらいますからね。」
「何? そんなに嫌いなの、東城のこと。アイツ、面白くていいヤツだよ。多分、権藤と気が合うよ。」
「……いや、そういうことじゃないんですよ……。」
あのバーコードもどきとお腹を見ちゃうとねぇ……、女としては萎えるんですよ、とはさすがに言えない。
一体にイケメンという人種は他の男の見目形に対して全く無頓着になるものなのだろうか?
「じゃあ、飯ぐらいいいじゃないの、オレがご馳走するしさ。」
「でも、社長とさやかの邪魔をしちゃうんじゃないですか?」
「あ、それは気にしないで。いつも二人っきりってのも何か面倒くさくてさ。」
「面倒?」
「さやかちゃんは期待値マックスだから。じゃ、行こうか。」