乙女は白馬に乗った王子を待っている

高橋は二人に向かって軽く手を上げながら席に着いた。
さやかと東城は向かい合って座っていたので、必然的に高橋がさやかの隣りに、ゆり子が東城の隣りに座る事になった。

「ゆりちゃん、来てくれたんだ〜、断られると思ってたから嬉しいよ〜」

丸い顔をさらにまんまるにして、東城は人の良い笑みを浮かべた。ゆり子はさりげなく東城の挨拶をスルーしてさやかに話しかけた。

「さやか、バイトはどうしたの?」

「うん、東城さんとゆりちゃんのために一肌ぬごうと思って、今日は休んじゃった。」

「……はあ、お気遣いどうも。」

むっつりした顔で答えていると、テーブルの下で高橋がゆり子のスネを蹴ってくる。
思わず「いったっ……」とうめくと、高橋がすごい形相でゆり子を睨んでいた。
ゆり子は慌てて作り笑いをする。

「まあ4人で飲んだら楽しいしね。」

「でしょ。これもゆりちゃんのためなんだから、感謝してよ〜。」

何、そのドヤ顔。
小さな親切、大きなナントカなんだけど!?

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