雨音の周波数
出てきた案は主婦層が興味を持ちそうなことを、専門分野の人を招いて話してもらう。一番手堅い方法だった。
何人かの専門家の名前を挙げ、後日アポを取るということになった。そのなかで出演を快諾してくれた人の専門分野に合わせて、番組の流れを考えることになる。
決めるべきことは大方決まった。最終確認を終えれば、この会議も終わるというときだった。
会議室内に設置されている内線電話が鳴った。受話器を取った夏川さんの「はい、はい」と言う受け答えが会議室に響く。
「はい、わかりました」と言って夏川さんは受話器を置き、山岸さんに向かって「あの、受付にニッポン香味さんがいらっしゃっています」と言った。その言葉に「えっ!」と驚いた山岸さんは小走りで会議室を出て行った。
ニッポン香味さんとはこの番組のスポンサーだ。放送時間がお昼のためリスナーは主婦層が多い。そのため調味料を専門に販売するニッポン香味さんは『to time』にスポンサーである。そして『to place』のほうもスポンサーを継続してくれることになった。
数分後、山岸さんとニッポン香味さんが一緒に会議室へと入ってきた。
「失礼いたします。ニッポン香味広報担当の前田と申します」
ダークグレイのパンツスーツを着た小柄な女性の前田さんが、大きな紙袋を持った状態で頭を下げた。
制作側も挨拶をして、前田さんをテーブルの方へ誘導した。
「今日は『to place』の会議があると聞きまして、よろしければ弊社の商品をリスナーさんへのプレゼントにできないかと思いまして」
何人かの専門家の名前を挙げ、後日アポを取るということになった。そのなかで出演を快諾してくれた人の専門分野に合わせて、番組の流れを考えることになる。
決めるべきことは大方決まった。最終確認を終えれば、この会議も終わるというときだった。
会議室内に設置されている内線電話が鳴った。受話器を取った夏川さんの「はい、はい」と言う受け答えが会議室に響く。
「はい、わかりました」と言って夏川さんは受話器を置き、山岸さんに向かって「あの、受付にニッポン香味さんがいらっしゃっています」と言った。その言葉に「えっ!」と驚いた山岸さんは小走りで会議室を出て行った。
ニッポン香味さんとはこの番組のスポンサーだ。放送時間がお昼のためリスナーは主婦層が多い。そのため調味料を専門に販売するニッポン香味さんは『to time』にスポンサーである。そして『to place』のほうもスポンサーを継続してくれることになった。
数分後、山岸さんとニッポン香味さんが一緒に会議室へと入ってきた。
「失礼いたします。ニッポン香味広報担当の前田と申します」
ダークグレイのパンツスーツを着た小柄な女性の前田さんが、大きな紙袋を持った状態で頭を下げた。
制作側も挨拶をして、前田さんをテーブルの方へ誘導した。
「今日は『to place』の会議があると聞きまして、よろしければ弊社の商品をリスナーさんへのプレゼントにできないかと思いまして」