雨音の周波数
店員さんはワンタンスープを一人分ずつカップによそい「ごゆっくりお召し上がりください」と言って、部屋を出て行った。
「さあ、食べようか」
「はい。いただきます」
小皿を手に取り、エビチリを大きなスプーンで取り分ける。見た目からしてぷりぷりしているエビは、思った通りぷりぷりしていた。
「美味しいです」
「それはよかった」
エビチリを食べ、ワンタンスープを飲む。ワンタンで軽く舌を火傷してしまったが、これも美味しい。ツルッとした喉越しのワンタンはいくつでも食べられそうだった。
「小野」
「はい」
急に名前を呼ばれ、エビチリから佐久間さんに視線を合わせる。それで思い出した。お見合いなんていう謎の名目が付いていたのだと。
「僕がこんな形で小野とお見合いをセッティングした理由を話してもいいかな?」
「どうぞ」
お箸を置いて、佐久間さんの話を聞く体制を整えた。
「僕は今まで結婚に興味はなかった。ただ四十を過ぎて人生を一緒に歩む人がいてもいいと思えたんだ。そんなことを考えたとき、真っ先に浮かんだのが小野だった」
「それは毎日会っているし、弟子だし、バイトの期間を含めれば九年もお世話になっています。そのせいじゃありませんか」
佐久間さんはジャスミン茶を少し飲み小さく笑った。
「それなら宮本とは十一年の付き合いだ。年だって六個差、小野より近い。それでも小野が浮かんだ」
「さあ、食べようか」
「はい。いただきます」
小皿を手に取り、エビチリを大きなスプーンで取り分ける。見た目からしてぷりぷりしているエビは、思った通りぷりぷりしていた。
「美味しいです」
「それはよかった」
エビチリを食べ、ワンタンスープを飲む。ワンタンで軽く舌を火傷してしまったが、これも美味しい。ツルッとした喉越しのワンタンはいくつでも食べられそうだった。
「小野」
「はい」
急に名前を呼ばれ、エビチリから佐久間さんに視線を合わせる。それで思い出した。お見合いなんていう謎の名目が付いていたのだと。
「僕がこんな形で小野とお見合いをセッティングした理由を話してもいいかな?」
「どうぞ」
お箸を置いて、佐久間さんの話を聞く体制を整えた。
「僕は今まで結婚に興味はなかった。ただ四十を過ぎて人生を一緒に歩む人がいてもいいと思えたんだ。そんなことを考えたとき、真っ先に浮かんだのが小野だった」
「それは毎日会っているし、弟子だし、バイトの期間を含めれば九年もお世話になっています。そのせいじゃありませんか」
佐久間さんはジャスミン茶を少し飲み小さく笑った。
「それなら宮本とは十一年の付き合いだ。年だって六個差、小野より近い。それでも小野が浮かんだ」