雨音の周波数
「じゃあな。ラジオ頑張れよ」
「うん。そっちも体に気をつけて」
圭吾は背を向けて歩き出した。その背中にどうしても伝えたい言葉が過った。
「圭吾。ラジオ、聞いてくれてありがとう。メール全部読んだよ」
「そっか」と答えた圭吾は寂しそうな目をしていた。
そのままお互い背を向けて別れた。きっと圭吾にはもう会えない。そう思うと、胸の奥がチクチクと痛んだ。
今日は久しぶりの直帰だった。おかげで圭吾と話すことができた。
車があるため、カフェからもう一度ラジオ局に戻った。車でアパートへと帰り、お風呂場へ直行した。
湯船につかり、圭吾のことを考えた。
あの時は圭吾が居るということと話すことで手一杯だった。あの場で圭吾の顔を見るより、今思い出した圭吾の顔を見つめるほうが簡単だ。
圭吾も私も似たような感情を抱えて生きていた。それも今日で終わった。
付き合おうという言葉は純粋に嬉しかった。きっと二十五歳の私だったら、また圭吾と付き合っていただろう。また付き合って別れるようなことになっても、まだ失恋に耐える精神力があったから。
来年、三十路。恋愛は四年していない。もう失恋への免疫力も抵抗力も持っていない。これから付き合おうと思う人は、多かれ少なかれ結婚が視野に入ってくる人。失恋したら辛い、そういう考えが巡ってしまう人とは付き合えない。
これが私の導き出した気持ちだ。
「うん。そっちも体に気をつけて」
圭吾は背を向けて歩き出した。その背中にどうしても伝えたい言葉が過った。
「圭吾。ラジオ、聞いてくれてありがとう。メール全部読んだよ」
「そっか」と答えた圭吾は寂しそうな目をしていた。
そのままお互い背を向けて別れた。きっと圭吾にはもう会えない。そう思うと、胸の奥がチクチクと痛んだ。
今日は久しぶりの直帰だった。おかげで圭吾と話すことができた。
車があるため、カフェからもう一度ラジオ局に戻った。車でアパートへと帰り、お風呂場へ直行した。
湯船につかり、圭吾のことを考えた。
あの時は圭吾が居るということと話すことで手一杯だった。あの場で圭吾の顔を見るより、今思い出した圭吾の顔を見つめるほうが簡単だ。
圭吾も私も似たような感情を抱えて生きていた。それも今日で終わった。
付き合おうという言葉は純粋に嬉しかった。きっと二十五歳の私だったら、また圭吾と付き合っていただろう。また付き合って別れるようなことになっても、まだ失恋に耐える精神力があったから。
来年、三十路。恋愛は四年していない。もう失恋への免疫力も抵抗力も持っていない。これから付き合おうと思う人は、多かれ少なかれ結婚が視野に入ってくる人。失恋したら辛い、そういう考えが巡ってしまう人とは付き合えない。
これが私の導き出した気持ちだ。