あなたを守りたい
出会い
一目惚れだった。
僕にとって初めての感情。
彼女を見た時の、心を射抜かれたような感覚。
これまでに多少の恋愛は経験してきた。
それでもここまで会ってすぐに好きだと感じた事はない。
自分の気持ちに戸惑う。
だけどこの気持ちは嘘じゃない。
黒沢亮介、26歳。
寝具を扱う会社の営業マン。
ここで働き出して3日が過ぎた。
大学を卒業して、大手自動車メーカーで営業職に就いた僕は、ずっとそこで働くつもりでいた。
ところが、昨今の不況で営業成績は低迷を続け、ノルマを達成するのが難しくなった。
上司からの小言がプレッシャーとなり、事務所にある売り上げの棒グラフは、段々とその高さを失っていく。
ついには後輩からも追い抜かされ、ストレスで体調を崩した。
しばらくの間自宅療養を続け、やがて体調は回復したものの会社に戻る気力は無く、有給休暇の消化が終わるとそのまま会社を辞めた。
スーパーで、無料の求人雑誌を貰っては目を通す日々。
とりあえずドラッグストアの裏方でバイトをしながら職を探す。
希望はやはり営業職だった。
自動車販売では失敗したものの、人と話すのは好きだったし、自分には合っている職種だと思う。
また失敗するのではという不安が頭をよぎる事もあったけど、未開の地に足を踏み入れるよりかはマシだ。
扱っているものは何でも良かった。
営業だったら何とかなる。
そう思っていた。
そして、バイトをしながら就活する事4ヶ月。
何社かの面接を受け、やっと採用が決まったのがここだった。
「おはようございます」
初出勤の朝、自動ドアが開いた先に、受付を掃除している女性がいた。
僕に気づいた彼女は、にっこりと微笑み出迎えてくれる。
「おはようございます。黒沢くんね?」
「はい」
「話は聞いてるわ。それじゃまず、ロッカーに案内するわね」
白いブラウスにグレーのベスト、下は黒のチェックのタイトスカート。
栗色のゆるくパーマがかかった髪は、後ろでひとつに束ねられている。
こなれ感のあるヘアスタイル、そしてナチュラルなメイクの綺麗な人だった。
そして何よりも心を惹かれたのは彼女の笑顔だった。
彼女の名前は藤井千春さん。
その名の通り、春のひだまりを連想させる穏やかな人だった。
僕にとって初めての感情。
彼女を見た時の、心を射抜かれたような感覚。
これまでに多少の恋愛は経験してきた。
それでもここまで会ってすぐに好きだと感じた事はない。
自分の気持ちに戸惑う。
だけどこの気持ちは嘘じゃない。
黒沢亮介、26歳。
寝具を扱う会社の営業マン。
ここで働き出して3日が過ぎた。
大学を卒業して、大手自動車メーカーで営業職に就いた僕は、ずっとそこで働くつもりでいた。
ところが、昨今の不況で営業成績は低迷を続け、ノルマを達成するのが難しくなった。
上司からの小言がプレッシャーとなり、事務所にある売り上げの棒グラフは、段々とその高さを失っていく。
ついには後輩からも追い抜かされ、ストレスで体調を崩した。
しばらくの間自宅療養を続け、やがて体調は回復したものの会社に戻る気力は無く、有給休暇の消化が終わるとそのまま会社を辞めた。
スーパーで、無料の求人雑誌を貰っては目を通す日々。
とりあえずドラッグストアの裏方でバイトをしながら職を探す。
希望はやはり営業職だった。
自動車販売では失敗したものの、人と話すのは好きだったし、自分には合っている職種だと思う。
また失敗するのではという不安が頭をよぎる事もあったけど、未開の地に足を踏み入れるよりかはマシだ。
扱っているものは何でも良かった。
営業だったら何とかなる。
そう思っていた。
そして、バイトをしながら就活する事4ヶ月。
何社かの面接を受け、やっと採用が決まったのがここだった。
「おはようございます」
初出勤の朝、自動ドアが開いた先に、受付を掃除している女性がいた。
僕に気づいた彼女は、にっこりと微笑み出迎えてくれる。
「おはようございます。黒沢くんね?」
「はい」
「話は聞いてるわ。それじゃまず、ロッカーに案内するわね」
白いブラウスにグレーのベスト、下は黒のチェックのタイトスカート。
栗色のゆるくパーマがかかった髪は、後ろでひとつに束ねられている。
こなれ感のあるヘアスタイル、そしてナチュラルなメイクの綺麗な人だった。
そして何よりも心を惹かれたのは彼女の笑顔だった。
彼女の名前は藤井千春さん。
その名の通り、春のひだまりを連想させる穏やかな人だった。